2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/2/20 水曜日

バタバタ

ここ数日、雑誌や新聞からの問い合わせが相次いでいる。とりあえず反応があるのはうれしいのだけど、掲載されるかどうかは分からない。木曜日は雑誌の取材だ。

今日は急遽、白井さんにビデオを録画して渡さなければならなくなった。国立新美術館での展示用にいくつか問題が発生していて、僕のほうで対処できないこともいくつかあって、少々込み入ったことになってるようだ。夜には音楽担当の高橋さんが事務所に来て作業しようとしたがうまくいかず。展示までになんとかなるのだろうか。(まあ、なんとかなると思うけど。)前にも書いたかもしれないけど、今、巷で出回っているチラシは僕が撮影したものです。ちょっとびっくり。

事務所で編集作業。気が早いけど、Space neoでの旧作上映用のテープを作ろうとしていたら、これまたトラブル。まだ早すぎる、という何かの知らせか。やれる時にやっておこうと思っただけなのだけど。

今日は朝からイージス艦の事故のニュース。昨日、杉山隆男著「兵士を追え」をやっとこさ読み終わったばかりだったので、この偶然が恐ろしい。(もっとも、この本は潜水艦の話ですが。)僕は杉山さんの兵士シリーズはノンフィクションとしてとてもよく書けているのでずっと読んでいる。この本も面白かったのだけど、すごいボリュームで途中、他の本に手を出したりしてやっと読み終わったところ。自衛隊については色々考えるところがあるけど、抽象論ではなく自衛隊の実態を知れる本って意外と少ないから、このシリーズは貴重だと思う。やっと読み終わったと思ったら、次に手を出したのが「スパイの世界史」。ああ、また600ページを越えている・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:38:15

2008/2/19 火曜日

コメント/打ち合わせ/『全然大丈夫』

すでにホームページに掲載してあるけど、建築評論家の五十嵐太郎さんがコメントをくださった。今日は、日比野克彦さんからコメントが届いた。夜には、『チーズとうじ虫』の監督・加藤治代さんから。(近々ホームページには掲載されると思います。)

これらのコメントは3月頭に出す、チラシとは別のフライヤーに掲載予定。

そんなこともあって、パンフのレイアウトのこともあって、デザイナーの高木さん、原田さんと打ち合わせ。パンフはチラシと同じく、横向きになりそう。

夜、気になって気になって仕方がなかった『全然大丈夫』を見に行く。見終わって複雑な気分になった。少なくとも、全然大丈夫、とはならなかった。

こういうことを書くのは監督の藤田さんにとっては不本意かもしれないけど、やっぱり書き留めておこう。僕より少し上の世代の自主映画のヒーローが石井聰互ならば、多分、僕らの世代(僕より年齢は少し上だけど)のヒーローは藤田秀幸だった。少なくとも僕は今までに「この人は天才だ」と思った監督は藤田さんだけだ。それぐらい『虎』も『遠足』も『クラゲ釣り』も学生時代に見た強烈な映画だ。その後、大人計画で映像を発表しているのは知っていたけど、僕は見ていない。映画館で見れたのは『グループ魂のでんきまむし』だった。これも爆裂した映画だった。日本映画がつまらないとしたら、藤田さんが映画を撮ってないからだ、と思ってきた。

だから、その藤田さんが(名前を”容介”に変えたみたいだけど)ついに、遅すぎる商業映画デビュー。これは見ないわけにはいかない。で、やっと見た。面白くないわけではない。多分、かつての藤田さんと比較するほうが間違っているのだろう。でも、僕はやっぱり「暴走」して映画が爆裂する藤田さんも見てみたかった。これは作家の成熟なのだろうか。(これも変な言い方だな、十分、毒はあるのだから。)少なくとも、心境の変化はあったようだ。途中から僕には長く感じられた。くすくす笑えるのだけど、そのくすくす感の持続が心地いいか、飽きるかは微妙なところだろう。

でも、僕はやっと藤田さんの映画を映画館で見れたことが嬉しかった。これから年に3本ぐらい撮って、日本映画をかき回して欲しい、と僕は思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:38:27

2008/2/17 日曜日

原稿書き

パンフレットに原稿執筆をお願いした方からは、ほぼ快諾をいただけた。面白いものになる、と思う。

人に頼みながら、自分の原稿が遅れるとしゃれにならないので、今日はパンフレット用の原稿を書いていた。書いたのは、僕自身の詳細なフィルモグラフィー。ここ数日の、旧作上映の内容などをやりとりしながら、その勢いで今書いたほうが書けるだろうな、と判断した次第。それほど多くの作品があるわけではないのだけど、今回の作品は突然変異的に出来たものでもなく、それなりに美術界と関わりを持つ中で生まれた作品でもあるから、そうした背景を知ってもらえるかな、と思い、自分が解説したフィルモグラフィーを載せることにしたのだ。

書いてみると、意外と時間がかかってしまった。他人が見ると「しょうもないことを」と思われるかもしれないが(笑)、まあ、それでもいいか。その時、その時は自分なりに考えてきたのですけどね。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:17:06

2008/2/16 土曜日

『アメリカン・ギャングスター』/ホームページ

いくつかメールを出さなければいけない用事があったのだけど、どうしても映画が見たくなってしまって、調べると時間がぴったりはまったので映画館へ行くことにした。それにしても、自転車で5分で行ける所に映画館があるというのは夢のようである。

見たのは『アメリカン・ギャングスター』。リドリー・スコット信者としては、公開されてからずっと「見たい見たい」信号が点滅していたのだけど、やっと見ることが出来た。評判もいいみたいで、確かに面白い。前作『プロヴァンスの贈り物』がどうにもだめだった僕としては、今回はよかった、と素直に思える。だけども、少し物足りなさがあるのも正直なところ。まず、映像としては「リアル」寄りのルックなのでリドリー・スコット印とでも言うべき強烈な画像はほとんどない。(もっとも、雪がふあふあ舞ってて、にやりとしましたけど。)そして、デンゼル・ワシントンもラッセル・クロウもいいのだけど、構成も巧みで飽きないのだけど、二人の絡みをもっと見たかった気もする。(2大スター競演!なんていう映画にはよくこういうパターンもありましたけどね。)なぜなら、それはリドリー・スコットの本質に関係するから。彼の映画は基本的に「決闘」映画と言われるけど、これではまだ言葉が足りない。彼の映画は極めてホモ・ソーシャルな要素があるのだ。特に「悪」が輝く映画では、よくストーリーを追っかけてみると、なぜ「善と悪」が激突しなければいけないのかよく分からないのだ。言ってしまえば「悪」から「善」への「愛」としか理由を説明できない瞬間が必ずある。その時、映画は異様な輝きを示す。その伝でいけば、ラスト近く笑いあう二人にそんな瞬間が見えなくもないが、もっと激しく激突した場面にこそそういう瞬間を見たかった気もする。デンゼル・ワシントンが逮捕される場面はちょっとぞくぞくしましたけど。それにしても、リドリー・スコットも70を越えちゃいました。枯れる様子がないところはいいですね。

家に帰ってから、いくつかメールで用事を済ます。ホームページ掲載用の原稿も書く。3月末、僕の旧作を一挙(全部ではないのですが)上映するので、その内容をまとめたもの。せっかく上映するので少しは人が来てくれないとさびしいから。

未分類 — text by 本田孝義 @ 20:22:59

あれやこれやが・・・

旧作の上映企画の細部の詰めや、記事を掲載してくれる雑誌(これが結構、破格の扱い。感謝。)の校正やパンフレット執筆の依頼や、細々したことをあれこれやってると時間というものは意外と早く過ぎ去ってしまう。

ああ、こんな細々したことは放り出したい!なんて気持ちがふとよぎったりするが、どう考えたって放り出すことは出来ないわけで、とにかくやり続けるしかないのです。

それでも、まいた種が少し芽を出してくるとうれしいものです。そのまま立派な花が咲けばいいんですけどね。

夜はVIDEO ACT!の上映会。今日は米軍基地を扱った2作品。不幸なことに沖縄の暴行事件があってタイムリーな上映会になってしまったけど、もう少し人が来て欲しかったところ。こちらの宣伝が足りなかったのだろうなあ。

トークを聞いているうちの目がしょぼしょぼして、急に疲労が襲ってきたのだけど、打ち上げには参加。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:42:42

2008/2/14 木曜日

原稿依頼/旧作

パンフレットを予定通り作成するために、昨日から原稿執筆のお願いをしている。印刷予算のことなどもあって、厚いものは難しいけど、多少薄かろうと、それなりに内容があるものにはしたいと思ってる。だから、いくつかは読ませる文章を載せたい、と思う。とりあえず、4人に依頼を送り、2人は快諾をえた。明日も引き続き・・・。

ポスターを2ヶ所に発送。

夕方、事務所にて自分の旧作の短編を見直す。色々あって、3月末ごろ、旧作を上映する予定なのだけど、東京でほとんどやってない作品もやったほうがいい、という話もあったりして、それなら僕とアートとの関わりが分かるようなプログラムにしようかと思い、旧作を見直したのだ。やや恥ずかしい気もするが、プログラム案を書き出してみると、意外と(?)楽しい企画になるような気もしてきた。なぜまた今回”アートドキュメンタリー”を作ることになったのか、その道すじが分かるようなものにしよう。考えてみれば、昨年11月、岡山映画祭でも似たような話をしたのだった。

それにしても、現代美術界隈での活動は関西より西ばかり。東京では全くなし。そういう意味では3月5日からの国立新美術館での展覧会が初かもしれない。う~ん。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:26:44

2008/2/13 水曜日

うまくいったり、いかなかったり・・・

何かと時間繰りが微妙にずれてうまくいったり、いかなかったり。

ささいなことだけど、ドアを開けると電話が鳴っていて、出ようとすると切れるとか。先に別の用事を済ませたほうが効率よかったりとか。まあ、こういうことはよくあるし、今日はなんとなくそういうことが連続していた。

だからと言って、悪いことだけではないのだけど。

ある雑誌から記事掲載の依頼があったり、DVDを送って欲しいと連絡があったり、ポスターのステッカーが出来たり。

夕方、ユーロスペースにチラシを取りに行くと、たくさん知った方に会う。チラシを紙袋に入れてそそくさと帰るのはなんだかかっこ悪い。

夜、少しいい話があった。正式に決まったら、ホームページでお伝えできるでしょう。(前々から「出来たらいいなあ」と思ってたことではありました。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:13:38

試写会

事務所で頼まれた諸々の雑用をした後、試写会へ。今日で試写会は5回目、ついに試写会も残すところあと2回。

どうも落ち着かず、少し早めに出てしまう。会場に向かいながら不安なざざっと駆け巡る。果たして今日も人は来てくれるだろうか、という目の前の不安だけではなく、公開まで2ヶ月をきって、どれだけ映画のことを知ってもらっているのか、という漠然とした不安だ。映画の宣伝と言ったって、雲をつかむような話で何が正解で、何が成功しているのかななかな分からない。多分、公開初日まで分からない。だから時としてそんな気になる。映画を作っただけでなく、配給までやっているとこうなるのだけど。

今日の試写は、唯一、遅い時間、18:30~からの試写だった。多士済々、いろんな方が来てくださった。とりあえず、ほっとする。

上映中、原田さんとパンフレットの内容などを打ち合わせ。近々に決めたりお願いしなければいけないことも多く、しばらく胃が痛い日が続きそう。

さて、上映が終わったあと、いろんな方に声を掛けていただく。いくつかの雑誌にも情報が出る、と思う。

自分で言うのもなんだが、映画の題材のせいもあって、今まであまり縁のなかった雑誌にもいくつか掲載されそうだ。これは本当にありがたい。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:39:29

2008/2/11 月曜日

川俣正「通路」

おとといから東京都現代美術館で「川俣正 「通路」」が始まった。多分、久々の個展のはずだ。早く見たいな、と思いつつ連休中は人が多いかも、と思ったり、展覧会期間中に進化することもありそうだから、もう少し先のほうがいいかと思ったりしていたのだが、ホームページを見ると、カフェ・トークがあることを知って、今日、行くことにした。

そもそも東京都現代美術館はいろんな人に「不便」なんて言われているのだけど、僕は錦糸町に引っ越してからはバス1本で行ける便利さになった。だけれども、なぜか足が遠のいてしまっていたのだが、今日はそのバスで行った。本当にエントランス近くにバスが止まる便利さ。

そのバス停を下りると、何やらコンパネのついたてが並んでいる。土嚢を置いている様も生々しいが、「すげ~」という物量・迫力ではない。正直言って、少し拍子抜けした。現代美術館の中にも同じサイズのコンパネが、ずらずら並んでいる。会期が始まったばかりだからだろうか、木の匂いがしているのが意外・新鮮だった。だけれども、ロビーを歩き、展示室を入りながらもどこか違和感を覚える。今までのプロジェクトの写真・設計図・模型なども展示してあり、さながらドキュメントである。さすがにこれらは面白い。では肝心の”通路”はどうなのかと思っていたら、半分ぐらい歩いた時に、先の違和感がぐるっと反転した。むき出しのコンパネはどうみても美しくない。その美しくない光景をやや引いて見ていると、美術館という場が突然くるっと裏返ったような変な、妙にざらついた空間に感じられるのだ。これは不思議な感覚だ。

あるコーナーでは映像作品が上映されていて、前から見たかった『椅子の回廊』が見れてよかった。もう1本”Sur la voie” も見れた。両作とも美しい。

そして、家に帰ってからある妄想が浮かんだ。もしかすると、”通路”というコンセプト自体、川俣さんがどこかに「抜けたい」と思っている証なのではないかと。

その後、「MOTアニュアル 解きほぐす」も見る。僕は金氏徹平、手塚愛子がよかった。

食堂で遅い昼食をとったあと、Cafe Talkへ。今日のゲストは坂口恭平さん。建物を建てない建築家、というのも面白いがホームレスから学べる視点があるという話は、坂口さんのハイテンションとあいまって面白かった。川俣さんの話ももっと聞きたかった、という気がしなくもないが。坂口さんの話を聞きながら、大学の後輩である、曽木くんが出版した「ASAKUSA STYLE」のことを思い出したりしていた。

トークの後、思い切って川俣さんに話しかけて、『船、山にのぼる』のDVDをお渡しする。何せ川俣さんと言えば、PHスタジオのお師匠さん(現代美術で師匠というのは変なのだけど、PHスタジオは元々川俣さんの助手として出発したチームなのだ)でもある。「噂は聞いてます。見たいと思ってたんですよ。」と言っていただけてうれしい。お忙しいとは思うのだけど、見ていただければなあ。学芸員の方にチラシを渡そうとすると、「明日の試写に行こうと思ってます」と言われた。こうして少しでも広がるといいんだがなあ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 19:59:44

2008/2/10 日曜日

原稿

起きる時に頭痛がして、その後1日頭痛がとれず。

そんな時に原稿を書くのも変な話だが、「書こう」と決めた時に書かないと先延ばしにしそうだから、今日、原稿をかくことにした。

 一つは感染研の安全性を考える会の会報に新井裁判について。それから、先日試写に来てくださった、福住治夫さんが編集長を務める月刊「あいだ」に『船、山にのぼる』について書くことになったので、その原稿。かなり硬派な美術ミニコミ誌なので、原稿を書くのも一苦労。僕は自分では書くのが早いほうだと思っているのだけど、あれこれ書くことが多すぎて、考えを整理するのに時間がかかってしまった。まあ、それでもなんとか書けたと思うのだけど、どうおっしゃられるかちと心配。(明日もう一度読んでみてから正式に送ろう。)

結局今日は一日原稿書き。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:48:23

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