2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/2/28 日曜日

「芸術原論」

赤瀬川原平著「芸術原論」読了。もっとすらすら読めるかと思ったら、意外と時間がかかってしまった。面白くなかったわけではなくて、いろんな連載を集めたものだから、あまり集中できなかったせいかもしれない。最近はすっかり文筆家のような著者だけあって、文章は面白い。いろんな画家の分析、読売アンデパンダン展の経験など、美術の行き詰まりを見た(と思った)分析など軽そうでいて射程は深い。超芸術トマソンの「超」の意味も分かった。路上観察で面白いことを発見する、諧謔精神のようなものも感じられる。本のタイトルほど堅苦しいものではなく、芸術あれこれのエッセイ集、という感じだった。(そこがいいのだと思う。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:17:42

2010/2/27 土曜日

『コララインとボタンの魔女』

人形アニメはけっこう好きで、ちょくちょく見ていたりする。『コララインとボタンの魔女』は3Dということもあって気になった。(見たのは日本語吹き替え版。)人形の質感やセットの質感が立体感を持って見れるので、こういう人形アニメと3Dというのはとても相性がいいように思った。『アバター』に違和感があったとすれば、いかにもCGで描かれた映像に無理やり立体感を持たせたような感じにもあったことは確か。本作は楽しんだのだけど、魔女が作り出したもう一つの世界がちょっとくどいかな、という気もした。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:28:08

第2回恵比寿映像祭

昨年はどうしたわけか見逃した恵比寿映像祭。先週から第2回が開催中でうっかり忘れていた。今年も見逃すとこだった・・・。というわけで、今日、見に行ってきた。感想を書く前に、いくつかの疑問。この映像祭も大きく言って展示と上映から成り立っている。上映の方は上映プログラムとして開始時間・作品の時間がチラシなどに明記しているので、見る上では、まあ、混乱はないだろう。問題は展示である。近年、美術展でも映像作品が増えて、「展示」される映像が多いのだが、チラシなどには作家名は大きく出ていても、その作品がどれぐらいの上映時間なのかが明記されていない。もちろん、絵画と同列に扱うなら時間は不要な情報かもしれないが、映像作品の場合は(写真をのぞく)どうしても時間芸術という側面もあるので、たっぷり全部見た場合、トータルでどれぐらい時間がかかるのか、おおよそでも知りたかったりする。僕も、ある作品を全部見ずにぱっと見て済ませることも多いのだが、それはついつい全部見てると時間がないや、という意識が働くせいでもある。大体は、作品のキャプションに時間が明記されていて、見るときの目安にする。こうした鑑賞態度は、いかにも「映画」に毒された鑑賞態度、とも言えなくはないが、もう少し見る前の情報があってもいいのではないだろうか。例えば、今日、見た(というか聞いた)多数のアーティストが参加した、音声によるインスタレーション作品は、興味深いアーティストが多数いるのだけど、その場で配られた資料を見ると、91分とあった。初めから知ってれば、もっと時間に余裕を持って来たのに、と悔みながら、触りだけを聞いてその部屋は出た。で、展示だけですが、全体のテーマ「歌をさがして」というのが、どうもよく分からない。心に響くものが少ないというか。とは言え、何人も面白い作家がいるにはいたのですが。以前から面白い作家だなあ、と思っている山城知佳子は、この映像祭で見た作品もとてもよかった。テーマを笑えるほど(実際に見ていた方は爆笑していた)愚直に提示した都築響一は、さすがと言うか何と言うか。かつてのレーザーカラオケの映像があんなにおかしかったなんて。(でも、今より趣はあるかも。)もう一つの不満は、ジョン・ケージのパフォーマンス映像。他の作品がヘッドフォーンで音声を聞けるようになっているものが多いのに、なぜかこの作品は小さな音がモニターから出ているだけ。エレクトロニクスを使った、元祖ノイズ音楽とも言えそうなパフォーマンスだけに、音がよく聞こえないのは致命的。耳をモニターにつけて聞いて、映像を見た感じではめちゃくちゃかっこよさそうだった。吹き抜けのカフェでも映像を流していて、上映プログラムを見ると、7分だけですが、『77BOADRUM』が。2008年に見た映画のこれが僕のベスト1。つい、今日も見て震える。その後、外に出て、センター広場の<Time Lapse Plant/偽加速器2010>を見る。素晴らしい。さらに、19:30からのパフォーマンスも見る。LED照明は、これまでの照明と違って、一つのたま(というかセット)でいろんな色が出せて、グラデーションっぽい色も出せるし、瞬間的に色も変えられるしかなり自由度が高い、と思う。舞台やライブの照明も変わっていくんだろうなあ、なんてことも思ったり。今日のパフォーマンスでは照明と同期したサウンドの効果もあって、スペーシーでLED照明そのものが生きているかのような錯覚も覚える。影に色が付いてぐるぐる回っているのも面白い。上映の方は、行けなさそう。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:26:47

2010/2/26 金曜日

「国立感染研は安全か」

出かける用事が一つなくなったので、先週末に手にした「国立感染研は安全か―バイオハザード裁判が予見するもの」 を読む。一読して労作だと思った。なぜ、国立感染研の移転に対する反対が起き、運動がどう進み、裁判はどう闘われてきたのかがなかなか感動的に描かれている。多くの筆者が役割分担して執筆したことが、結果的に立体的に問題を浮かび上がらせていていい本になっていると思う。手前みそだが、僕も自分が関わった新井秀雄さんの裁判について書かせてもらい、こうして記録に残せてよかったと思う。時代はこうしてwebでなんでも情報が読めるような錯覚を覚える時代ですが、本という形で残すことは今でも大切だと思っている。

 「国立感染研は安全か―バイオハザード裁判が予見するもの」
(緑風出版A5版上製305頁税込4200円 
ISBN:978-4-8461-0910-3)

国立予防衛生研究所=現国立感染症研究所の突然の移転に対する、周辺住民と早大教職員による裁判闘争を総括。最高裁が「取り返しのつかない惨禍」を生み出しかねない危険を指摘した本裁判の記録。
<目次>
第1章バイオハザード裁判とは?
第2章法廷においてバイオハザード裁判はどう闘われたのか
第3章科学者はどう行動したか
第4章国際社会におけるバイオハザード予防と枠組み
第5章バイオハザード裁判の本質
第6章バイオハザード裁判が予見したこと
第7章今後の課題
第8章座談会(原告たちの声)
資料編

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:15:28

2010/2/24 水曜日

救急車

今日はちょっとびっくりした。久しぶりに事務所に行く途中、「あっ」という女性の声が聞こえたので、そちらを見たら、歩道でお婆さんが倒れるところだった。ちょっとつまずいたのかな、と思ったのだが、倒れ方が危なかったので、近づいて「大丈夫ですか」と声をかけたら腰が痛い、と言われる。とにかく体を支えていたら近くのお店の方が偶然出てこられて、救急車を呼んでくれた。近くの方のようだったけど、大事でなければいいな、と思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:36:10

2010/2/23 火曜日

挨拶文/VIDEO ACT!会議

時が経つのは早いもので、今年も「平和のためのコンサート」開催のための準備が始まっている。内容も決まり、これから宣伝用のチラシを作る、といったところ。どういうわけだか、もう何年も僕がチラシ用の挨拶文を書いていて、今年も頼まれた。平和に対する考え方や思いなどは毎年そうそう変わるわけがないのだが、講演者や時の変化で挨拶文も変えなくちゃいけない。どういう文言がふさわしいのか、あれこれ資料をあさったり、最近見た映画のことを考えたりしながら言葉を探す。たった1000字程度とはいえ、えらく時間がかかってしまった・・・。願わくば多くの人の関心を呼ぶことを。

夜、VIDEO ACT!の会議。今後の上映作品の検討や企画のアイディアなどを話し合う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:33:57

『アメリカー戦争する国の人びとー』『ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ』

今日から東京では藤本幸久監督の新作2本『アメリカ―戦争する国の人びと―』『ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ』のマスコミ試写が始まった。せっかくなので、今日、見に行った。

『アメリカ』は前にも書いたように8時間14分の超大作。全部で8部構成になっていて、①高校、②イラク戦争、③戦死、④先住民、⑤見えない人々、⑥ベトナムの記憶、⑦抵抗、⑧それぞれの春と、いうエピソードタイトルがついている。実は、正直言って、見る前はしんどいなあ、と思って見始めたのだが、いざ見始めると語られる内容の重さもあって引き込まれてしまった。語られる話は劣化ウランによる被爆、戦死者の遺族、精神的な病、帰還兵のホームレス化などヘビーな話が続く。そうした話を聞きながら、僕はアメリカが内部から崩壊していっている光景を見ているような錯覚を覚えた。(もちろん、アフガン戦争、イラク戦争ではアフガニスタン、イラクは物理的にも崩壊したわけだが。)戦場は遥か彼方にありながら、「銃後」であるはずの社会も戦場だった、とでも言うか。そうした中でかすかな希望がいくつも出てくる。戦争に反対している人びと、イラク派兵を拒否した軍人などの姿だ。特に感動的だったのは、ワタダ中尉のインタビューと講演。将校として初めてイラクへの赴任を拒否したとしてニュースでも取り上げられていた人だ。彼の考え方が実に聡明で、「兵士は合衆国憲法に忠誠を誓う。大統領にではない」という言葉にはしびれる。全体として少し気になったというか、不思議な経験をしたのは、同じく藤本監督は『アメリカばんざい』という映画を作らられていて、同じシーンがいくつもあったこと。言わば8時間14分の『アメリカ』は大幅な増補改訂版というか総集編とでも言うべきものになっている。なお、ポレポレ東中野の上映(3月20日から公開)では5回に分けて上映されるそうだが、もし、時間がある方は8時間を一気に見ることをお勧めする。

ここで疲れたら帰ろうか、と思っていたが、それほど疲労していなかったので、『ONE SHOT ONE KILL』(こちらは1時間48分)も見た。この英語タイトルは映画を見れば分かるのだが、新兵訓練の掛け声なのだ。(日本語字幕では一撃一殺となっていた。)内容はアメリカ海兵隊のブートキャンプ(新兵訓練所)での12週間の訓練を密着取材したもの。よく取材させてもらえたなあ、というのがまずは驚き。多分、映画ファンには”リアル・フルメタル・ジャケット”と言えば通じるだろうか。(もっともキューブリックの『フルメタル』はベトナム戦争時代の設定だが。)とにかく、訓練所に入る所から出るまで上官から徹底的に大声で怒鳴られまくる。言わば、人間を、考えない、命令に反応する殺人マシーンに作り替えるようなものである。同時に見ながら気づいたのは、旧日本軍を反面教師にしたのか、時代の流れか絶対に教官が手を挙げることはなく、手を上げないようにするためにも、徹底的に大声で罵倒しているように見える。また、当然、実弾での訓練もあるわけだが、実弾の管理を徹底しているように見える。それこそ、『フルメタル』ではないが、勃発事件が起きないようにしているのだろう。話は飛ぶのだが、映画を見ながら、2004年に写真家の石川真生さんが沖縄の自衛隊を取材していて、その取材についていったことを思い出していた。その時は、卒業試験と卒業式に行ったのだった。・・・ともかく新兵訓練のを見る機会などそうそうないだろうから、貴重なドキュメンタリーだ。こちらは4月10日からUPLINKにて公開。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:25:35

2010/2/21 日曜日

「楽園」(上・下)

宮部みゆき著「楽園」(上・下)も文庫になっていたので読んだ。(最近はこのパターンばかり。)宮部みゆきの熱心なファンではないのだが、そこそこ作品を読んでいるような気がする。本作を読んであらためて思ったが、不思議な作家だなあ、と思う。「模倣犯」のようなヘビーな作品でも、語り方が意外とさらっとしていて、つるっと読めてしまう。語り方がうまいということでもある。すいすい読めて、ふと後ろを振り返った時にどっと重さを感じると言うか。「楽園」は「模倣犯」と同じ主人公。本作もある殺人事件が起点にあるが、大きな違いは超能力の存在。途中までこの力が存在するのかどうか、という謎があるが半ばで実在を強く感じて話は進む。超能力と言っても、読後感としては繊細な感覚、といった趣。殺人事件も暗いものではるが、物悲しくもある。けれども、全体としてどこか爽やかな余韻も。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:49:23

2010/2/20 土曜日

会議/「国立感染研は安全か」出版

今日は午後からバイオハザード予防市民センターの幹事会。いくつかの議題を話し合う。

数年前から編集委員会の方々が取り組んでいた、「国立感染研は安全か―バイオハザード裁判が予見するもの」(緑風出版刊)がようやく出版の運びとなった。僕も今日、実物を見て、形になって感慨深い。国内最大の病原体実験施設、国立感染症研究所(旧予防衛生研究所)が1992年に都心部のど真ん中、新宿区戸山に移転した。周辺住民や隣接する早稲田大学の教職員たちは病原体が漏れ出し災害が起きる=バイオハザードが起きることを懸念し反対運動を続け、移転阻止の裁判を起こした。(移転そのものは強行された。)2001年に「バイオハザード裁判」が出版されたが、その後、裁判は高裁・最高裁と進んだがその内容、加えてこの運動全体を総括する本を出し記録に残しておくべきだ、という機運が生まれた。そして今回の出版となった。多数の方々がいくつかの視点から文章を書いているのだが、僕自身は、直接この裁判のことを書いてはいなくて、映画『科学者として』を公開すると同時に、主人公・新井秀雄さん(元国立感染症研究所主任研究官)が同名の著書「科学者として」を出版し、所内で処分を受けたことから処分撤回の裁判を起こした、その裁判の経過を書かせていただいた。全体のページ数から言えば、ほんの一部、10ページ程度のものだが、記録として残せたことはよかったと思う。全体はまだ読んでいないが、かなり充実した本になっていると思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:36:21

2010/2/19 金曜日

『どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来~』

今日は夜、『どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来~』の完成試写会に行ってきた。ディレクターはVIDEO ACT!で一緒に活動している、小林アツシさん。『軍需工場は、今』や『基地はいらない、どこにも』などずっと硬派なテーマを追いかけていて、今回は日米安保条約改定50年という節目で、何かと話題となる日米安保を真正面から取り上げた作品。日米同盟の背景から今も続く米軍基地の問題までとにかく短い時間の中で総ざらえしたように密度の濃い内容になっている。自分たちで取材した映像に留まらず、沖縄の放送局の映像やアーカイブ映像も駆使し、安保の実態が浮かび上がる。そういう中でも実際に被害にあった方々や闘っている人の姿はやはり強く印象に残る。44分という長さだから平和学習などにもこれから活用されていくだろう。個人的には、2004年に沖縄国際大学に米軍のヘリ(今、問題になっている普天間基地のヘリだ)が墜落した事件の映像を見て、当時、現場にいた時の衝撃がまた蘇ってきた。すでに今週からDVDを発売していて、3月3日には午後7時より文京シビックセンター26階スカイホールで上映会も開かれる。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:40:43

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