2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/8/17 火曜日

「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」

何かと話題を呼んだ映画『ザ・コーヴ』。あの映画の感想は書いたので省略するが、イルカについていくつか気になっていることがあって、もやもやしちたところ、「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」という文庫本が出ているのを見かけた。著者は川端裕人さん。何冊か小説を読んだし、「動物園にできること」というノンフィクションはいい本だった。だから、この本も読んでみた。いい本だった。単行本自体は1997年に出たものだが、今、『ザ・コーヴ』で議論されているようなこと(映画の作り方ではなく、イルカ漁の問題として)が網羅されているように思う。著者はイルカは好きだけど、無条件に保護すべきとも考えていない。本の中では世界中を旅して、イルカと一緒に泳ぐことが出来る場所、イルカ漁を行っている所などを訪ねている。本書の中では触れられていないが、1980年代以後のイルカブームの一端には映画『グラン・ブルー』(1988)、あるいは主人公のモデルとなったジャック・マイヨールの影響もあるかもしれない。僕も『グラン・ブルー』は好きな映画だ。(現在、完全版~デジタル・レストア・バージョン~が公開中。)文庫版のあとがきには『ザ・コーヴ』に関する話がきちんと論じられていてる。イルカ漁に「反対」、イルカ「保護」、イルカ漁の「伝統」など、単純に賛否に陥らず冷静に語られていて教えられることが多かった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:10:39