2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/9/13 土曜日

「追悼上映 土本典昭」

先週末から始まっている、「追悼上映 土本典昭」。本当は今まで見たことがある作品ももう一度見直してこそ、「追悼」なのだとは思うのだが、現在の精神状態でどうしても向き合うことが出来そうに無く、なかなか劇場に足が向かなかった。それでも、恥ずかしながら見ていない作品も何本かあり、それだけは見ておこうと思った。

今日、見たのは中篇4本。『偲ぶ・中野重治』は、見ながらまたまた映画とは離れたことをふと考えていた。まずは、中野重治の告別式でありながら、頭をよぎっていたのは土本典昭さんのお別れの会のこと。次に、僕も故・芝田進午さんの葬儀・お別れの会の映像を撮ったことを思い出していた。葬儀の映像は、お別れの会の時に上映した追悼ビデオで使わせていただいた。もう一つは、全然レベルが違うが、父の葬儀のこと。次は『原発切抜帖』。(これは以前見ていた。)もう、アヴァンギャルド・ドキュメンタリーとも言うべき、新聞記事だけでこれだけ面白く見せてしまうことにあらためて感心。小沢昭一の語りの軽妙さ、水牛楽団の音楽の楽しさ。『水俣レポート1 実録・公聴委』。偽造書類まで受け取る、公害等調整委員会の醜さ、交渉にのぞむ患者さんたちの落胆・怒り・疲労に満ちた顔。『わが街わが青春-石川さゆり水俣熱唱-』は青春映画の傑作だった!成人になった胎児性水俣病患者の人達が奮闘して石川さゆりのコンサートを開く姿を追っているのだけど、とにかく何度も涙が出る。また、あまり時制をいじくらない土本さんが大胆に時制を変えた編集をしていたことも新鮮な驚きだった。土本さんの映画に対する見方が少し変わった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:49:01