横川シネマ/『77BOA DRUM』
東京の再上映は明日からだけど、広島では来週土曜日から再上映。今日、その映画館、横川シネマに上映用テープやパンフレットなどを送った。横川シネマの支配人・溝口さんはプログラムからもぎりから映写までほとんど一人でこなす、すごい方。ミニシアターってここ10年で全国に増えたけど、僕と同年代か若い支配人は意外と少ない。溝口さんはそんな数少ない方の一人。
今日から北京オリンピック。チャン・イーモウ演出の開会式、なんてのも気になったが、ここ数日、もっと気になる映画があったので、そちらを見に行った。見たのは『77BOA DRUM』。今日、2008年8月8日が8並びで北京オリンピックなら(ちなみに、偶然ですが『船、山にのぼる』は88分。)2007年7月7日、ニューヨークのブルックリン橋の袂に、ボアダムスのコンセプトの下に77台のドラム(7並び!)を渦巻状に並べて演奏が行なわれた、そのライブドキュメンタリー。これは傑作だった!僕はまだ結成してそれほど間が経っていない頃、法政の学生会館でボアダムスを見たことがあるし、メジャーデビューした頃のCDも聞いたけど、それほどピンとこなかった。だから、ファンでもない。けど、この77台のドラム、というコンセプト、予告編に惹かれて見に行ったのだ。映画館で公開される音楽ドキュメンタリーは本当に増えて、まあ、さすがに全部追いかけることはないのだけど、気になるものもある。で、時々、がっかりする。大体がバックステージとライブシーンで構成されているものが多いわけだけど、意外とライブシーンが少なくて「もっと聞かせてくれ」と思うこともしばしば。その点、この『77BOA DRUM』はその辺のバランスも絶妙、編集も絶妙。これだけのイベントだから裏側も確かに気になるので、リハの風景も含めて、ライブの途中に見せてくれるのだけど、物切れ感も感じず、いい具合。僕は極端な広角レンズって嫌いなのだけど、この映画の場合は許せた。そして、「世紀のパフォーマンス」なんて常套句としてよく使われるわけだけど、確かにもっと規模がでかい演奏なんていくらもあるけど(何せフルオーケストラの方が人だけなら多いし)、この77 BOA DRUMのパフォーマンスは圧巻!基本的にはヤマタカEYEの合図で演奏を変化させていくのだが、トランスというかスペイシーというかノイジーというか(僕もその辺は詳しくないので分かりません)、とにかくそういう音と77台のドラムの音圧が意識を遠くへ連れて行ってくれる。確かにこういう奇跡的なイベントは記録されなければいけない。もう一つ面白いのは、You tubeの映像も積極的に使っていること。この映画では画像の粗さも良さになっている。僕は時々、プリミティブな衝動を覚える場面に出くわすと自然と涙が出るのだけど(ダンスだったり、アクションだったり)この映画では何度か涙が出た。こういう音が嫌いな人には無理には勧めませんが。今のところ、今年見た(劇もドキュメンタリーも含めて)映画で一番良かった!(後で調べたら、今年はなんと8並びということで、88台で今日、やったらしい。恐るべし・・。)
それにしても、昨日と今日のこの違いはいったい・・・。それも映画の面白さ。
さて、明日から東京アンコール上映。『船、山にのぼる』はどう受け止められるのだろう。