2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2011/3/18 金曜日

今こそ徳政令を!

現在被災され、身近な人を亡くし、生活物資を待ち望み、寒さを何とかしのごうとしている人びとが大勢いる中で、こういうことを書くのは時期尚早かと思い、書くのをためらったのですが、あまり指摘している人がいないので書くことにする。

今回の地震で家屋を喪失、あるいは破壊された人は多いだろう。また、映像で見ると、漁船や車を流されて使い物にならなくなった人も多いだろう。僕が勝手に推測するにこうしたものの多くはローンが組まれていたのではないだろうか。だから僕はこうしたローン(借金)を棒引きする、すなわち徳政令が今こそ必要だと思うのだ。まだまだ記憶に新しい、阪神淡路大震災の時、どうだったかを思い起こす必要がある。阪神淡路大震災で家を失った人びとに対して、低金利の融資、という制度は作られた。しかしながら、それまで組んでいたローン自体が免除されたわけではない。新しく家を再建した人たちには二重のローンが重くのしかかった。こうした実態をルポした好著に「倒壊―大震災で住宅ローンはどうなったか 」という本がある。今は文庫にもなっているので読みやすいと思う。(蛇足ながら、僕は『ニュータウン物語』を制作する時に、日本の住宅政策を調べていて、本書にも教わるところが多かった。)言わばゼロからの再出発ではなく、マイナスからの再出発だったのだ。単純な借金棒引きではないが、当時の新進党は震災後2年半だったが、債務免除を含む法改正を提案したことがある。(残念ながら廃案。)多分、借金棒引き、などと言うと、当然金融機関が大反発するだろう。だけど、考えてみてほしい。バブル崩壊後の不良債権処理などに莫大な公的資金=税金を注入して銀行は救済されたのではなかったか。今こそ金融機関はその恩返しをする絶好の機会ではないだろうか。(不平等が生じる、というのが「正論」として出てくるだろうが、僕は多くの国民は被災者救済に納得すると思う。)もちろん、全くのど素人が書いているので、どういう方法・手段が可能なのか、僕は分からない。日本の経済が悪化する、銀行が倒産する、などの声もあるだろう。銀行が倒産なんかしたら、それこそ復興どころではない、ということもあろう。でも、僕は生き延びた被災者の肩を少しでも軽くしてあげる方策を真剣に考えるべきだと思うのだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:28:20