2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/4/7 水曜日

『チャンドマニ』/花見

今日は『チャンドマニ モンゴルホーミーの源流へ』を見に行った。映画の紹介にドキュメンタリー・ドラマとあるように、ドキュメンタリーの要素と劇映画の要素が混然とした不思議な映画だった。大体、両者の要素を入れ込んだ映画の場合、時としてしかけばかりが目立って嫌になることが多いのだが、本作ではそういう感じがしなかった。まずは出てくる人たちが、本当にホーミーを歌うことが出来る人たちで、ある作られたシチュエーションがあったにせよ、とても自然なたち振る舞いをしていることが大きいのだろう。映画は、若者二人がホーミー発祥の地と言われるチャンドマニ村を目指すロードムービーなのだが、随所にホーミーだけではなく、様々なモンゴルの伝統芸能の演奏シーンが挟みこまれていて、直線的なストーリー展開にはならない。一歩間違うとイライラした構成になるはずが、いずれも魅力的な演奏と広大なモンゴルの風景が溶け合って、独特の感触を抱かせる。そして、全体の作り方もとてもゆるいのだ。このゆるさは、モンゴルの風土からくるものだろうし、ゆるいリズムに体が合ってくると、いい意味でぬるま湯につかった長風呂に入ったような心地よさにもなる。いやはや、一言では伝えにくい、不思議な映画だった。

夜、千鳥が淵で花見。(というか散歩。)天気が悪く、寒かったが、開花が少し遅かったせいか、まだまだ桜は残っていた。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:57:54