2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/6/24 木曜日

「ぼくらが夢見た未来都市」

五十嵐太郎+磯達雄著「ぼくらが夢見た未来都市」を読了。新書だからさくっと読めた。内容をコピペすると、高度成長期、少年向け雑誌のイラストや漫画に描かれた超高層ビル群、エアカー、空中都市などに、子供たちは魅了された。建築家たちも、増加する人口に対応するための巨大な東京計画を次々と発表した。一九七〇年の大阪万博は未来都市の実験場だった。しかし、四十年後の上海万博で展示された未来都市は、大阪万博とたいして変わっていない。未来都市は構想できなくなったのか?いまやノスタルジーなのか?ダ・ヴィンチから現在まで、建築家たちやSF作家たちが描いた未来都市像の変遷を辿る、というもの。建築史(こちらが五十嵐さん執筆)だけではなく、小説などのフィクション(こちらが磯さん執筆)内での未来都市を併置しているのが面白い。だから磯崎新におけるSF小説の影響、なんていう話も出てくる。そして、これからの未来都市は、多分、自分たちの足元を見つめ直すことから出てくるような気がしている。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:24:07

『石井輝男映画魂』/『鉄男』

試写で『石井輝男映画魂』というドキュメンタリー映画を見た。僕は石井輝男監督の作品をあまり見ていない。そんな人間がこういうドキュメンタリーを見るのも変な話かもしれないが、だからこそ興味もあった。石井輝男監督と言えば、『網走番外地』シリーズが有名だが僕らの世代ではしばらく映画を撮っていなかった後に復活してからの晩年(2005年に亡くなられた)がリアルタイムかもしれない。このドキュメンタリーでは『無頼平野』のメイキング映像がかなり使われている。他にはゆかりある方々へのインタビュー。中には声だけで丹波哲郎の話も出てくる。本作は8月7日からユーロスペースで公開だが、7月31日からはその上にあるシネマヴェーラで30本監督作が公開されるそうだ。

その後、珍しく映画のはしご。レイトショーで『鉄男 The Bullet Man』を見た。1作目の『鉄男』を見たのが学生時代。随分月日は経つ。今日見たテアトル新宿も爆音上映。ノイズ音楽が気もちいい。ストーリーはシンプル。映像は相変わらず手作り感がたっぷりだし、初期衝動に忠実なカメラのぶれも変わっていなかった。そこは良かった。のだけど、少し不満も。まず一つは、トランスフォームして大体3つの形態になる主人公=鉄男だが、2つ目の形態がどうにもかっこ悪く見えた。多分、多少の気持ち悪さを狙ったのだと思うのだけど、あまりいいデザインには思えなかった。また、鉄男への変身が前はもっとしつこく、鉄が飛び出してくるような印象があったのだけど、意外とあっさりしていたようにも思う。そして、ラストのバトルが狭い空間(室内からビルの谷間)で行われていて、心の中で「東京を走り回ってくれ!」と思っていたのだけど、それはついにかなえられなくて少し残念。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:56:32