2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/12/26 土曜日

『アバター』

『アバター』3D字幕版を見た。見る前は字幕が読みにくいかなと思っていたが、まあ、それほど違和感なく見れました。いろんな人が指摘しているように、SFの設定ではありますが、物語の骨格は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』などと変わりなく、そんなものかな、と思うぐらいでした。多分、物語自体にのめり込めなかったのは、見る前から違和感があったナヴィ族のキャラクター・デザインで、こういう映画ではこういう部分に乗り切れないとなかなか入り込めない。それと、これは僕の邪推なのですが、惑星パンドラの描写はファンタジー色が強いわけですが、ジェームズ・キャメロンという監督は、本当はあまりこういう描写が好きではない、もしくは肌合いが合わないのじゃないか、と。ガンシップの描写とかのほうが本当は好きなはずですよね。3D効果は奥行きがあっていい部分もあったのですが、人間の眼はもっと繊細なので、どうしても2時間半目をだましていることからくる疲れが残りました。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:55:54

『キャピタリズム マネーは踊る』

マイケル・ムーアの新作『キャピタリズム マネーは踊る』を見た。マイケル・ムーアの映画は基本的に突撃取材(その中にはパフォーマンス少々)+資料映像(そこには過剰なマイケル・ムーアのナレーション)で出来ていて、本作も構造は全く同じ。「こんなのドキュメンタリー映画じゃない」という声もありますが、僕自身は方法論・演出論に関しては別にいいんじゃないの、ぐらいにしか思っていない。前置きが長くなったが、今回の作品はタイトル通り(と言っても、聞きなれない者としては分かりにくいかも)「資本主義」がテーマ。映画の冒頭、家のローンが払えなくなり、差し押さえにあい、FBIが乗り込んでいく様子が写される。日本はここまでにはなっていないが、追い出しがすざまじいことになているのはご承知の通り。そこから、なぜこんなことになったのかが、分かりやすく(分かりやすすぎる単純化で)ユーモアも交えて語られる。聞くところによれば、マイケル・ムーアは元々、こうしたテーマで映画を撮り始めていたところに、金融大暴落が起きたのだとか。ドキュメンタリー映画を作っていると、時としてそういう共時制みたいなことがおきる。だから、映画は後半、この大暴落の犯人を追いかけていく。この混乱を乗り越えて、元々自分の家だった所に再度住み始める人々、工場のストライキに立ち上がる人々が最後に描かれ、グッと来る。ある女性議員が議会で「法を破って占拠せよ!(自分の家を取り戻せ)」とアジっていたのはかっこよかった。(日本ではありえなそう・・。)ちなみに、英語でははっきりと「スクワット」と言っているように聞こえました。そしてクレジット。流れてきたのは、ラグタイム調のインターナショナル!クリスマスにインターナショナルを聞くとは思わなかった。(ちなみに、僕が昨年のリーマンショックで受けた影響を3分で描いた『グローバル経済、ありがとう』はVIDEO ACT!の『続自由不平等』に収録。全16作1000円の格安で販売中。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:13:12