2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/12/10 木曜日

「偽書「東日流外三郡誌」事件」

偶然本屋で見つけた文庫「偽書「東日流外三郡誌」事件」を読んだ。多分、振り仮名がないと読めないと思うが、偽書の名前は「つがるそとさんぐんし」と読むそうだ。あまりに面白くてほぼ一日で読み終わった。著者は東奥日報(青森県の地方紙)の記者・斎藤光政さん。簡単に言うと、1975年に村の公史として出版された「東日流外三郡誌」は、正史には登場しない津軽の古代・中世史を敗者の視点から記した門外不出の古文書、というふれこみだったのだが、これが偽書(現代に書かれた偽の歴史書)だった、という事件の顛末を描いたもの。著者が新聞記者であるように、これもれっきとした調査報道だと思う。1992年に新聞記事を書いて、時々の記事を挟みつつ、記事執筆の背景、偽書擁護派との論争などが読み物としてとても面白い。かなわぬことを承知で書けば(記者は取材拒否されていたようなので)偽書を書いたとされる、和田喜八郎さんが何を思ってこういうことをしたのかが知りたくもなる。(本書執筆中に亡くなられた。)いつ頃からか分からないけど、こうした偽書関連の本は結構、読んでいる気がする。(偽書ではないけど、「トンデモフリーメイソン伝説の真相」なんていうのも最近読んだなあ。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:50:20