2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/5/16 金曜日

ヒナタノオト/『靖国』/名古屋公開決定!/大阪最終日

今後の上映で行くことになる場所の電車の切符と飛行機のチケットをとる。

その後、上映・スタンプラリーでお世話になった、ヒナタノオトへ。前売り券も売ってくださったので精算。高橋朝子さんの作品展をやっていたので、しばし鑑賞・談笑。ご本人もおられた。聞けば、札幌在住とかで、シアターキノでの上映を見ていただければありがたいなあ、と虫のいい話をする。

さらにその後は渋谷に出て、やっと『靖国』を見る。この間の騒動についてはまたあらためてどこかで書きたい。もう混んでないかな、と思ってたら混んでました。映画館の前には警察が常駐している。相変わらず、ぴりぴりした雰囲気。

前にも書いたけど、監督の李さんとは以前一緒に仕事をしていたことがある。彼らが会社を作った時も知っている。彼の映画もだいたい見てきた。で、映画の感想。思っていた以上によかったし、力作だと思う。誤解を恐れずに言えば、僕は李さんの今までの映画はあまり好きではなかった。スタイリッシュなのはよく分かるのだけど、どこかかっこつけてる感じも持っていたのだ。だが、今作は、描かれた題材のせいもあって、スタイリッシュになりきれない、はみ出した部分が多々あり、そこがいいと思った。ただ、僕は冒頭とラストの音楽は重々しすぎて好きになれない。また、刀匠のシーンは重要なシーンになっているのだけど、想像するに、かなりあとに撮影されたのではないだろうか。騒々しい靖国神社の光景とうまく噛み合っていない、と僕は思う。ご神体の部分でつながっているように見せながら、どうもしっくりこない、という印象を持った。もっとも、監督の問いを誤解してテープをかけるシーンはドキュメンタリー映画ならではの出色のシーンとなっている。僕は靖国神社のシーンを見ながら、監督が「なんで?」と問いを発しているように思えた。「英霊よ、静かに眠ってください」と言いながら、騒々しい8月15日。復古的な軍国主義を批判するというより、なぜ、静かに祈れないのか、そう、問うているように思えたのだ。僕が最近思っているのは、日本がかつて戦争に負けたことを認めたくない人が多いのではないか、ということだったりするのだけど、8月15日のシーンにそんなことも思ったりする。それにしても、なんでこんなに品がないのだろう。多分、靖国神社が重要だと思っている人ほどそのことに気付かされるのではないだろうか。そんないくつものシーンを李さんは揶揄したり茶化して撮ってはいない。(意地悪い監督ならそうするだろう。)この映画にあるのは、なぜ、日本人はこういう精神構造をしているのだろう、という問いかけだ。

映画を見終わって携帯を見てみたら、留守電が。電話をかけたところ、シネマスコーレの木全さんからだった。以前から話があったのだけど、名古屋の公開が決まりました。7月19日(土)~25日(金)のモーニングショー。6月から7月にかけて、上映がけっこう決まった。ありがたい。

こんなことを書きながら、ちょうど、大阪での上映が終わろうとしている。長いようで短い3週間でした。シネンーヴォの景山さんはじめスタッフの方々、お世話になりました。非力な点もあったかと思いますが、感謝の気持ちで一杯です。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:10:24

何やかにやと・・・/『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン 』

細々とした雑事がいくつか。シネマテークたかさきには宣伝材料をさっそく送った。

夜、ユーロスペースにて『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン 』の試写。”鳥の巣”と言えば、もう、日本でも馴染みになったのだろうか、北京オリンピックのメインスタジアムのことである。ヘルツォークと聞けば「映画監督」と思う人は映画ファン、「建築家」と思う人は建築ファン、なのだろうか。ここでは後者、建築家。この映画は「鳥の巣」の建築を描くドキュメンタリー。2人の仕事の様子も興味深いが、やはり一番おもしろいのは「異文化」の接触・創造だろうか。ドキュメンタリー映画として丁寧に作られている。ただ、僕はこの2人の建築家の建物をあまり好きではない。だから”鳥の巣”もあまり好きではない。こればかりは好みの問題だからどうしようもない。(じゃあ、なんで見るのだと言われれば、興味はあるからだ。)

が、この映画の持つ意味・価値は、ここ数日で変わってしまった、と僕は思う。なぜなら、四川大地震が起きたからである。今日の新聞の見出しには、被災者1000万人の数字も載る。加えて、倒壊した建物の映像から、耐震構造の問題まで指摘されている。こんな状態で北京オリンピックはどうなるの?と単純に思う。やろうが、やるまいが、いずれにせよ、批判はおきる、と思う。そんな情勢だからこそ、”鳥の巣”の建築としての真価が問われるのではないか、と思うのだ。意匠としては色々語られるだろう。でも、多分、この映画は完結していなくて、この夏、どのように使われるかが、本当のラストシーンのような気がしてならない。だからこそ、見るべき映画なのだ、と思う。

もう一つ見ながら思っていたのは、なんで日本には建築家を描いたドキュメンタリー映画が少ない(ほとんどない?)のだろうか、ということ。少なくともこの10年、多分、後世に語られるであろう、建築がいくつも建った。だけれども、ドキュメンタリー映画が映画館で公開された、という話は聞かない。(テレビはチェックしてないからわかりません。)外国の建築家のドキュメンタリーが何本か公開されているのに・・。14人の日本の建築家が登場する『sur/FACE』も監督は外国人なんだよな。このへんも、日本の映像文化の貧しさを感じます。

そういえば(って、変な使い方だけど)、昨日書いた「次回作?」も、よく考えたら建築がらみの話でありました。どうなるか分かりませんが。

追記:岡山の友人・中村智道さんの新作『蟻』が完成したそうだ。http://nakamuragahaku.blog110.fc2.com/ この映像を見ただけで、悪夢的光景が分かろうというもの。東京では5月31日・6月1日に上映。見るべし。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:04:01