2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2008/5/16 金曜日

何やかにやと・・・/『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン 』

細々とした雑事がいくつか。シネマテークたかさきには宣伝材料をさっそく送った。

夜、ユーロスペースにて『鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン 』の試写。”鳥の巣”と言えば、もう、日本でも馴染みになったのだろうか、北京オリンピックのメインスタジアムのことである。ヘルツォークと聞けば「映画監督」と思う人は映画ファン、「建築家」と思う人は建築ファン、なのだろうか。ここでは後者、建築家。この映画は「鳥の巣」の建築を描くドキュメンタリー。2人の仕事の様子も興味深いが、やはり一番おもしろいのは「異文化」の接触・創造だろうか。ドキュメンタリー映画として丁寧に作られている。ただ、僕はこの2人の建築家の建物をあまり好きではない。だから”鳥の巣”もあまり好きではない。こればかりは好みの問題だからどうしようもない。(じゃあ、なんで見るのだと言われれば、興味はあるからだ。)

が、この映画の持つ意味・価値は、ここ数日で変わってしまった、と僕は思う。なぜなら、四川大地震が起きたからである。今日の新聞の見出しには、被災者1000万人の数字も載る。加えて、倒壊した建物の映像から、耐震構造の問題まで指摘されている。こんな状態で北京オリンピックはどうなるの?と単純に思う。やろうが、やるまいが、いずれにせよ、批判はおきる、と思う。そんな情勢だからこそ、”鳥の巣”の建築としての真価が問われるのではないか、と思うのだ。意匠としては色々語られるだろう。でも、多分、この映画は完結していなくて、この夏、どのように使われるかが、本当のラストシーンのような気がしてならない。だからこそ、見るべき映画なのだ、と思う。

もう一つ見ながら思っていたのは、なんで日本には建築家を描いたドキュメンタリー映画が少ない(ほとんどない?)のだろうか、ということ。少なくともこの10年、多分、後世に語られるであろう、建築がいくつも建った。だけれども、ドキュメンタリー映画が映画館で公開された、という話は聞かない。(テレビはチェックしてないからわかりません。)外国の建築家のドキュメンタリーが何本か公開されているのに・・。14人の日本の建築家が登場する『sur/FACE』も監督は外国人なんだよな。このへんも、日本の映像文化の貧しさを感じます。

そういえば(って、変な使い方だけど)、昨日書いた「次回作?」も、よく考えたら建築がらみの話でありました。どうなるか分かりませんが。

追記:岡山の友人・中村智道さんの新作『蟻』が完成したそうだ。http://nakamuragahaku.blog110.fc2.com/ この映像を見ただけで、悪夢的光景が分かろうというもの。東京では5月31日・6月1日に上映。見るべし。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:04:01

コメント (1) »

  1. あっ!紹介ありがとうございます。

    コメント by 中村 — 2008/5/16 金曜日 @ 11:46:42

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