2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/4/14 火曜日

「巨大建築という欲望」

前々から読みたいと思っていた、「巨大建築という欲望 権力者と建築家の20世紀」という、これまた500ページを越える分厚い本を読み終わった。風邪を引いてなかなか進まない日もありましたが、全体としてすこぶる面白い本だった。ヒットラー、スターリン、ムッソリーニ、サダム・フセインらの独裁者、あるいは、毛沢東、ミッテラン、歴代アメリカ大統領などの権力者、ロックフェラーのような財閥など、権力を握った人間がいかに巨大な建築を求め、そして建築家がいかにその欲望をかなえ、あるいは自らを売り込んできたかを人間ドラマとして描き出す。建築家をかなり痛烈に批判している部分もあるが、建築そのものが必要とされていることを十分ふまえて描いているから、単に切り捨てる、というものでもない。こうしたゆがんだ、見方を変えれば必然ともいえる関係の中から、いかに醜悪な建築が生まれるか、に焦点が当たっているように思う。僕が今興味を持っていることも、実は巨大建築にまつわる話で、そうした興味もあって読んだ次第。もっとも、巨大建築そのものではないのだが。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:12:55