2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/11/15 日曜日

『ワーナー映画の歴史』

正確には(原題は全然違うが)『クリントイーストウッドが語るワーナー映画の歴史』というDVDを見た。2枚組。約5時間。イーストウッドが語るとあるが、基本的にはナレーションと製作総指揮。もちろん、自分の作品ではインタビューが出てくる。ワーナー85周年記念だそうな。アメリカではテレビ放送されたもののようだ。(だから時代を区切って、1時間×5本、という構成。)ギャング映画を筆頭に、どこか陰のある映画が多いことに気づく。(最近はハリー・ポッターなどもあるわけだけど。)ある映画が入っているかなあ、と思っていたけど、よく考えたらワーナーがメインの製作ではないので入ってないのは当然か。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:26:03

はしご

はしご、と言ってもお酒ではない。(そもそも僕はあまり飲めないし・・。)今日は気になる上映が横浜で連続していて、4つほど回ってきたしだい。

まず、YCC(昨年までBankART1929だったところ)に行って、横浜キネマ倶楽部主催の『マリアカラスの真実』を見る。見逃していた作品だ。横浜キネマ倶楽部は将来的に映画館を作りたい、という希望を持って自主上映を続けている団体。以前、イセザキ映像祭をやった時にお世話になった。今回は、ヨコハマ国際映像祭との連動上映。天井が高く、古い建築を再現した館内にマリアカラスの映画を選ぶセンスがいいなあ、と思った。見たのは12時の回だったのだが、満席。(こういう時こそヨコハマ国際映像祭のチラシを配ればいいのに、とも思った。)映画はマリアカラスの声、存在感に釘づけになるものの、良くも悪くもオーソドックス。亡くなった人の人物史を描こうとすると、昔の映像・写真、現在の風景、ナレーションで構成するしかないかもしれないが。(もっと、冒険的な方法もあるだろうけど。)

次に、ヨコハマ国際映像祭で上映された『SANLIBUTAN』を見た。ミヤセサチコ監督がフィリピンの施設で暮らす障害者たちを撮ったドキュメンタリー。子供たちの生き生きとした表情、愛らしさ、庭の光の美しさなど面白かったが、少々物足りず。僕が鈍いせいか、この施設がどういう施設なのかよく分からなかった。(描きたい主眼はそこではないことは分かるのだけど。)

その後、久しぶりに伊勢佐木商店街を通って、シネマ・ジャック&ベティへ。今日は野毛で撮影された『俺にさわるな!』の初日。知った方がいるので、せめてご挨拶だけでもと思った次第。ヨコハマ国際映像祭の柱の一つに、「自分も映像で発信」というのがあるが、この映画は横浜という地からの映像発信の好例。映像祭の多くの作品のように洗練された作品ではないかもしれないが、泥臭い映画も必要だ。2週間、1日1回上映。多分、横浜市民もまだまだ知らないだろうなあ。残念。

せっかく近くまで来たので、黄金町界隈の展示を見に行く。1の1スタジオで見た『HEAVENHELL』(ビデオインスタレーション)が力作だった。タイトルは黒澤明監督の『天国と地獄』から来ている。『天国と地獄』ではご存知のように、地獄側として横浜の黄金町が想定されている。僕は詳しくは知らなかったのだが、展示のキャプションを読むと、実際には黄金町では撮影出来ず、セットを組んだそうだ。そこで、マレーシアのクリス・チョン・チャン・フイと日本の森永泰宏は今の実際の黄金町で撮影することを考えたようだ。展示場所の2階に上がると、6面のスクリーンがあって、3つにしか映像が映っていないから、「他の3つは故障か?」と思ったがプロジェクターはついていたのではじめはなぞだった。部屋半分の3面(正面と左右)の映像はモノクロで、何やらとがった人たちがドリーで撮影されている。3面は同じ人だが、撮っている方向、アップなど見え方が違う。確かに、『天国と地獄』でこんなシーンがあったっけぇ、なんて思いながらなんか妙だなあ、と思ったら僕が映像をちゃんと見ていなかったことに後で気づいた。この3面が終わったか、と思ったら、次には映っていなかった3面に映像が。先の映像と撮影方法は同じなのだけど、人物の服装、店の雰囲気が違う。ああ、そうか、こちらの映像は『天国と地獄』が撮影された頃の雰囲気を再現し、先ほどの映像は現在のファッションになっていたのであった。見応え充分。もっとも、最近、現代美術で多い、映画からの引用は元の映画を知っているか、知らないかで面白さが違ってきたりする。この作品の場合、どうだろうか。それでも、ヨコハマ国際映像祭に行かれる方はここまで足を延ばして見ることを強くお勧めする。他にもいくつか展示を見てから帰宅。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:46:57