2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2008/10/27 月曜日

横浜トリエンナーレ&BankART LifeⅡ

今週はアート週間です。たまたまいくつか重なっただけなのですが。

今日はやっと横浜トリエンナーレに行ってきました。始まって1ヶ月以上たつのに、なかなか踏ん切りがつかず、今日になりました。土日は混みそうだから土日を避けました。

横浜・馬車道に着いて、一番遠い会場(バスで25分)、三渓園という日本庭園に行った。5人の作家の展示。庭を見ながら展示を見る。ホルヘ・マキとエドガルド・ルドニッキーだけは上演時間が決まっていたので、うまく時間が合わず、その間に昼食。三渓麺という麺が美味。ここでは中谷さんの「雨月物語」という霧を作り出す作品がよかった。庭を散策しつつ、ある決定的な光景に出くわしたのだが、それは後述。

バスで馬車道に戻ろうとしたら、えらく待ち時間が長かった。今日、他の会場を廻れるか、不安になる。

馬車道ではなく、桜木町に着いて、BankART LifeⅡの展示である、「心ある機械たち」がぴおシティーというデパートの地下で展示されていて見る。機械も面白いが(以前見たものがほとんどでしたが)展示空間がデパートの空き店舗、というロケーションがいい。そこから歩いて、BankART1929へ。ここで「心ある機械たち」を見る。面白い作品が目白押し。北海道でお世話になった、磯崎さんの作品、機械室まで進出した高橋啓祐さんの作品、一連の牛島さんの機械たち、久しぶりに見たヤノベさんの作品などなど。

次に、池田さんが香川県から来られた方を案内しているのに便乗して横浜市庁舎へ。ここもロビーで展示しているのだ。こうやって、街に開いていく展示は素晴らしい。

ここから再び、横浜トリエンナーレ会場へ。一つ目、赤レンガ倉庫。30年ぐらい前のパフォーマンスの記録映像も興味深かったのだが、あまり時間が無いため、じっくりは見れなかった。本来であれば、じっくり上映会で見たいところ。灰野敬二さんの映像もあったが、生のすごさを知っている身としては(大学の時、いっぱい見たなあ)ちょっと見てやめる。全体としてあまり印象に残らず。

次に、新港ピアという港にある会場へ。いくつか気になる作品もあったが、約30人も作家がいながらぐっとくる作品はなかった。同時に、会場構成が非常に分かりづらい。

最後が、BankART NYKへ。ここはグロさも含めて強烈な作品多し。好き嫌いで言えば、嫌いなものも。最後に見たマシュー・バーニーもやはり嫌いなのだけど、ぐっと見せてしまうのはさすが、といった感じか。

本当の最後は、屋上で展開している、「ルーフトップパラダイス」。(同じ建物だけどこちらはBankARTの展示。ややこしい。)屋上に建築家も含めたいろんな作家がいろんな物体(?)を展示。これがわくわくする楽しさ!かつてのデパートの屋上にあった、遊園地を髣髴とさせる。この展示、奥が深くて、以前、池田さんが(岡山で展覧会をやった時に)言われていた、「日本の都市は屋上が貧しい」ということに対する提示になっているんだと思う。展示はクレーンで屋上にものを上げて大変だったみたいだけど。

こうして一日がかりで展覧会を廻りました。これから行かれる人は時間を作って、BankARTの展示も見て欲しい、と思います。で、横浜トリエンナーレは、全体として映像作品が多く、その映像作品もあまり満足できませんでした。僕自身、今までに美術展で映像作品を発表してきたので、展示の難しさも知っているつもりです。それでも、もっといい映像作品もあるはずだ、という気もするのです。(ちなみに、今回日本の作家はきわめて少ない。)特に考えてしまったのは、身体表現と映像の関係でした。

僕が今回一番印象深かったのは、実は、三渓園で見た、ある光景でした。展望台があったので、ずんずんのぼっていくと、庭が見渡せるのかと思っていたら、さにあらず。目の前に広がったのは、横浜の工業地帯、その手前に高速道路が走る風景でした。今まで見ていた、日本庭園とのこの落差。これこそが、横浜トリエンナーレのテーマである”タイムクレバス”(=時間の裂け目)じゃないか、と一人興奮していたのです。その後見た作品は、この光景のインパクトにはかないませんでした。そんな光景を気にしながら見ていた僕がいけないのかもしれませんが。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:10:24

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