2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2011/1/28 金曜日

『わが心の歌舞伎座』

今日は久しぶりに東劇に出かけた。『わが心の歌舞伎座』というドキュメンタリー映画を見るためだ。ご存じのように、東劇は歌舞伎座のすぐ近く。映画館に行く途中、歌舞伎座があった場所がぽっかり空いていて、ああ、取り壊したんだなあ、とちょっと感慨深い。(と書きながら、恥ずかしながら僕は歌舞伎座に入ったことがなかった・・・。)さて、このドキュメンタリー映画、2時間47分もある大作。(途中、休憩(演劇らしく「幕間」と表示されていた)が入る。)松竹が相当力を入れたことが伺える。映画館に入って見ると、年配の方々がたくさん、ものすごい数の人。平日なのに・・。(むしろ、平日だから?)一瞬、歌舞伎座に来たのか、と錯覚を覚えるほど。そして映画は、とてもよかった。2時間47分があっという間。映画では著名な役者の方々が歌舞伎座の思い出を語りながら、その役者が演じた名場面が映し出される。役者の方々の語りが、本当に歌舞伎座を愛おしく思っている様子がひしひしと伝わってくる。実際の歌舞伎の名場面では(僕は役者・演技の良し悪しはよく分からないけど)、歌舞伎の特色を色々考えさせられた。特に思ったのは、歌舞伎のまがまがしさだった。この映画は歌舞伎座のさよなら公演がメインではあるのだけど、同時に先に書いたように代表的な演目の「名場面集」にもなっていて、歌舞伎入門にも最適、だろう。また、大道具・小道具・床山の方々など裏方の仕事もきちんと紹介されていて興味深い。もっとも、僕は裏方の人の話も聞きたかったけど。(多分、裏方は裏方として、今作では役者に主眼を置いたのだろう、とは思う。)ドキュメンタリー映画として特に野心的でもないけれど、ある一つの建物の「魂」を描こうとした狙いは十分伝わってくるし、こうして記録が残ったことは、とても大切なことだったと思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:15:51

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