2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/9/1 火曜日

『宇宙へ』

小学校の頃、宇宙飛行士になりたかった。ただ単に宇宙から地球を眺めてみたかった。僕が子どもだったころはまだ楽観的な未来観があったのか、比較的簡単に宇宙に行けるような幻想もあった。実際は日本人がそう簡単に宇宙に行けるわけではないことが分ったし、「選ばれた」人しか行けないものだ、という現実も知る。それでも憧れみたいなものは心のどこかにくすぶっている。そんなこともあって、『宇宙へ』というドキュメンタリー映画を見た。映画を見始めてすぐ気付くことだが、原題は「ROCKET MAN」。NASAの宇宙開発を時系列で描いたもの。ドキュメンタリーとしては単純なものだ。アメリカの宇宙開発は東西冷戦下旧ソ連との軍拡競争が背景にあって進むわけで、出遅れたアメリカは焦るわけだ。その辺はさらっとしか触れられていない。(このあたりは「レッドムーン・ショック」という本が面白い。)マーキュリー計画で7人の宇宙飛行士が選ばれる映像では、つい『ライトスタッフ』の映像を反芻してみたり。数々のロケット打ち上げ失敗シーンが続くあと、アポロ計画でいざ月面へ。何度も見ているはずなのに、やはり宇宙から眺めた地球の姿は美しい。僕にはそれだけでも十分だ。(蛇足ながらアポロ計画を描いたドキュメンタリー『ザ・ムーン』は未見。気になる。)またまた脱線するが、昔、『アポロ』というドキュメンタリー映画があった。こちらはアポロ計画の様々な映像を一つにつないで、あたかも地球から月まで旅をするように構成した映画だった。ナレーションもほとんどなく、今では名盤と言われているブライアン・イーノの環境音楽(最近、再発されたようだ)が静かに流れる、環境映画のような映画だった。DVDになっていないのが残念。で、今日の映画は原題にもあるように、宇宙飛行士を含む宇宙開発に関わる人の映画。宇宙開発と軍事開発には密接なつながりがあることを知った今となっては、「フロンティアへの挑戦」と能天気には思えないけど、時々胸が熱くなる自分もいる。ちなみに、この映画はNASAが初めて公開した映像も多数含まれているらしい。(映画が終わった後、「まるで国策映画見たい」と言っている人がいて笑った。)僕が見たのは日本語版だったのだけど、ナレーションの宮迫博之がとてもよかった。最近見たドキュメンタリー映画の中では最も説得力を感じる声だった。それに引き替え、ラストに流れるゴスペラーズの曲は余韻をぶち壊し。(曲を単独で聞けば悪くはないのだろうけど。)最近、こうした日本だけのイメージソングがつくことがままあるけど、よかった記憶がない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:39:43