2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2009/11/23 月曜日

「‘文化’資源としての<炭鉱>展」

今日は午後から目黒美術館へ行って「‘文化’資源としての<炭鉱>展」という、何やら堅そうな名前の美術展を見に行った。どうしても見たい作品(後述)があったからなのだが、Part1の美術を見ていくと、自分の中に勝手な固定観念があったことに気づいた。大雑把に言えば、炭鉱をテーマにした作品の美術展なのだが、「炭鉱」と聞くと勝手にリアリズム絵画のイメージがあったのだが、いろんな作家がいろんなアプローチで絵を描いていたことがよく分かった。写真も同じで、一見、炭鉱の人々を撮っていても写真家のアプローチが全然違っていて面白い。いずれにしても、「炭鉱」という場所に多くの作家が魅了されていた、その奥深さが興味深かった。(11月28日からはポレポレ東中野で<映像の中の炭鉱>という上映もある。)で、一番見たかったのは、地下1階の区民ギャラリーを全面使った、川俣正さんの新作インスタレーションだった。地下に下りて行くと、木のにおいが漂ってくる。視界に開けた作品は、一見、炭鉱町のジオラマのよう。だが、普通のジオラマに感じるような、よく再現したなあ、というようなものとはまるで違う。それは、素材の荒々しさ、ぶっきらぼうさによるところが大きい。地面は段ボールとコンパネからなり、ボタ山と思しき山も板が重なったもの。この物質感は不思議だ。全体を見ながら、どうにも言葉で表現しようのない、ふつふつとした感情が湧いてきた。川俣さんはご存知のように、1996年~2006年、筑豊で「コールマイン田川」というアートプロジェクトをやられてきた。残念ながら、僕は現地に行ったことがない。今回のインスタレーションはこれから始まる、ご自身の出身地・北海道空知とドイツルールでのコールマインプロジェクトを展望するものとのことだ。タイトルはシンプルに「景」とあった。また長期のプロジェクトになるのだろうか。今後のことを含めてわくわくとさせられた。なお、コールマイン田川の10年間を総括した本が近々出るようだ。(蛇足ですが、今回の展覧会に合わせて来日ー川俣さんは現在フランスのパリ高等芸術学院教授ーされていて、BankARTでお会いすることが出来ました。ちょうどDVD発売日だったのでDVDが渡せてよかったです。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:14:22

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