2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2009/8/22 土曜日

越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009

念願かなって、昨日と今日、越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009に行ってきました。まずは日記風に。

8月21日 午前9時4分越後湯沢着。すぐツアーのバスで十日町へ。受付をすませ、10時15分出発。回ったのは北回り1、というコース。ちなみに750k㎡の広大な場所に350以上作品が設置されているからどだい全部を回るなど無理。だから今回はバスツアーにした。車窓から見た作品を含めて、見たのは12か所。今回、特に気になっていたのは、人が住まなくなった空き家を展示空間にした空家プロジェクトや、児童が少なくて閉校した学校を展示場所にした廃校プロジェクト。前回からこうした取り組みが活発になったようだ。ツアーガイド(現地のボランティア)の方の話を聞いていると、ここ5年ぐらいで閉校した小学校が多そうだ。中には今年3月に閉校した学校もあった。校門をくぐりながら、やはり一抹の寂しさが。一方で、こうした取り組みに大地の芸術祭の「本気度」も感じる。また、山間部の風景はとても美しいのだけど、過疎化が進み、特に中越地震の影響もあって、人が住まなくなった空き家がより増えたそうだ。個々の感想は長くなるので省略するけれど、うぶすなの家はとてもよかった。やきもので再生した家。茅葺の古民家が見事に息づいていたし、焼き物の展示もとても空間に合っていた。そして、地元のおばさん達が作る手料理がおいしい。ここで昼食を食べたのだけど、新鮮な野菜を化学調味料を使わないで作った料理は素朴だけどおいしいのだ。普段、自分がいかにジャンキーなものを食べているかにも気づく。おばさんたちも元気。そんなこんなで、ぐるっと回って、十日町のホテルにチェックイン。すぐさま、十日町シネマパラダイスへ。まだ開館してから2年も経っていない、新しいミニシアター。ぜひ一度は行ってみたい、と思っていたのだ。昨年、全国のミニシアターにいくつか行ったけど、この十日町シネマパラダイスはとりわけきれいだった。新しいから、というのではなく、ロビーがゆったりとしていて、グランドピアノが置いてあるミニシアターって初めて見た!で、見たかった映画は『小屋丸』というドキュメンタリー映画。監督はフランスのジャン=ミッシェル・アルベローラ。いろんな形態で作品を発表しているアーティストらしい。この作品は4家族が暮らす小さな集落「小屋丸」を2006年から撮影してきた作品。実はある方から仕上げの前に相談されて、少しだけラッシュを見せてもらっていた。だからずっと気になっていたのだけど、とにかく完成してよかった。ラッシュを見た時に思っていたことが少しあたり、少し違っていた。とても不思議な映画になっていた。集落の様子を丁寧に描くというよりは、スケッチのような作品。お爺さん、お婆さんが問わず語りにいろんなことを語る。雪の景色も美しい。淡い夢を見たような気がした。続いて、地元十日町で撮影された『しゃったぁず・4』を見る。ご多分にもれず、十日町商店街も多くの店にシャッターが下りている。この映画は劇映画で、東京から出戻った主人公が、商店街を何とかしようとする姿を描く。もちろん、地元十日町で撮影。役者の方々はプロだし撮影もしっかりしている。映画を見ながら、地元で作られた映画を地元で見る、というのはとても幸せなことなんだ、と思っていた。(やや脱線するけど、映画も地産地消、スローフードにならってスロームービーが必要な時代になっている、と最近よく思う。)とても素直に見れるのだが、欲を言えばもう少し毒があってもよかったかな、とも思った。映画館を出て、映画の舞台となった商店街を通ってホテルに向かう。

8月22日 午前10時15分、今日は北回り2というコースのバスツアー。昨日と同じく10数か所を回る。田島征三さんの絵本がそのまま飛び出した元小学校もあった。いろんなギャラリーが参加している福武ハウスも元小学校。ツアーの最後は、BankART妻有 桐山の家。あいにく、池田さん達には会えなかったけど、みかんぐみのリノベーションがさらに進んでいたり、アーティストの展示が進んでいたりと、とても楽しい空間になっていた。2年前の夜、ここで見た澄んだ空気を通して見上げた流星群が忘れられない。午後7時の新幹線に乗って帰宅。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:14:16

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