2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2010/10/20 水曜日

『日々の呟き』

今日は夜、ポレポレ東中野で開催中の”ドキュメンタリー・ドリームショー 山形in東京2010”に行ってきた。2年に一度開催されている、山形国際ドキュメンタリー映画祭。映画祭が開催された次の年の東京上映もすっかり定着した催しになっている。僕は今回東京の上映には全く足を運んでいない。特に理由もないのだが、単に怠惰なだけ。今日は加藤孝信さんが撮影をした作品『日々の呟き』が上映されるので見に行った次第。昨年の山形での上映時は、僕が行った日には上映が終わっていて見れなかったので見たかったのだ。本作はフランスの監督、ジル・シオネ、マリー゠フランシーヌ・ル・ジャリュが太宰治に魅了された人びとを描くドキュメンタリー。(舞台は日本。)まずは加藤さんのカメラがとても端正で、プロの仕事とはこういうものだ、と感じ入った。と同時に内容に関しては僕には入り込めない部分があった。どこか座り心地が悪い、とでもいいますか。僕は太宰治のファンではないので、ファンの方が熱心にどのように影響されたかを語れば語るほど、ちょっと置いてけぼりをくらったような気になってしまった。もっとも、太宰治入門みたいな映画を撮ってもしょうがないわけで、正確に言えば、太宰治の文学が現在までどのように乱反射しているのかを描いたのが本作、と言えるのだろう。それから僕が見ながら気になっていたのは、「演出」だったりもした。あからさまな演出があるわけではないのだが、出でいる人たちときちんと段取りを踏まなければ撮れないカットがいっぱいあって、僕はついついそういうところに目が行ってしまった。今日の上映には監督も来日されていて、上映後、会場との質疑応答もあったのだが、「劇映画のような演出をしたのはなぜか」というような質問も出ていた。監督は「太宰治のような作家をテーマとしたので、事実と虚構の曖昧な境界も取り入れた」というようなことを言っていた。もっとも、逆に言えば、実によく練られた撮影がされているわけで、僕なんかには到底真似できない。結局のところ、内容と形式がどう有機的に結びついているかが大切なので、僕には今日のところ答えが出せそうにない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:40:49

コメント (2) »

  1. ご感想ありがとうございます。ドキュメンタリーの「演出」の問題は、考え始めると面白いのですが、なかなか結論の出る問題でもないですよね。

    コメント by カトちゃん — 2010/10/21 木曜日 @ 0:26:15

  2. >カトちゃんさん
    勝手なことを書きました。同じことをやっていても「演出」が気になることもあれば、気にならないこともあったりします。人の作品を見て、嫌だなと思っていても自分でやったりすることもありますし。なかなかに難しい問題です。

    コメント by 本田孝義 — 2010/10/21 木曜日 @ 12:01:39

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